クレステッドゲッコー(Correlophus cilatus)は、黄色や赤みがかった体色が、環境や感情によって一層鮮明になる「ファイアアップ」現象で人気のあるヤモリです。本記事では、クレステッドゲッコーの色が変わる仕組みと、個体に負担をかけない安全なハンドリング方法についてご紹介します。
クレステッドゲッコーの色が変わる「ファイアアップ」
クレステッドゲッコーは、周囲の環境や生理的状態に応じて体色を変化させる能力を持つことで知られています。カメレオンのように完全な擬態(カモフラージュ)を行うわけではありませんが、昼間は明るいクリーム色の個体でも、夜間は黄土色や茶褐色など濃い色に変わることがあります。
これは、色素細胞「クロマトフォア」のうち、黒色や茶色を司るメラノフォアと、黄色~赤色を担うキサントフォア、エリトロフォアの活性バランスが変わるためです。皮膚内の色素細胞クロマトフォアが活性化し、エリトロフォア(赤色素胞)がメラノフォア(黒色色素胞)に勝ることで、クレステッドゲッコーの色が変わることを「ファイアアップ」と言います。
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クレステッドゲッコーの色が変わる主なトリガーは以下の通りです。
照明の明暗
強い紫外線ライトや高照度環境下では薄めの体色を維持し、暗所では濃色化して背景と馴染みやすくなります。
温湿度の変化
夜間やケージ内の温度が下がると保温効率を高めるため、メラノフォアが拡大して濃い色調に変わります。また、湿度が高い環境でもクレステッドゲッコーの体色が濃くなることがあります。
ストレス・緊張
捕獲や新環境への移動時、恐怖や緊張を感じると一時的に体色が濃くなり、ストレスサインとなる。ただし、クレステッドゲッコーの性格は個体差があるので、ストレスを感じたからといって必ずファイアアップするとは限りません。
威嚇・求愛
威嚇や求愛の際に色素細胞の動きが変化し、体色が濃くなることがあります。一部のモルフでは色が変わることで、斑点や縞模様が目立つようになることもあります。
体色変化の幅やスピードは個体差が大きく、健康状態を把握するうえで重要なサインとなります。たとえば、頻繁に濃色化している場合はケージ内の温度・湿度・照明条件を見直し、適切な環境設定を行いましょう。
クレステッドゲッコーのハンドリングの方法
クレステッドゲッコーは、樹上生活に特化したユニークな手足をしており、指の腹側には、無数の微小な突起「スカンソル(板状突起)」があります。これを吸着パッドのように使うことで、垂直な壁でも貼り付いて移動することができます。たとえば、トカゲモドキの仲間のレオパードゲッコーは、クレステッドゲッコーのように樹上生活をしているわけではないので、ハンドリングに慣れていない個体は嫌がる傾向があります。しかし、クレステッドゲッコーはもともと高い場所を好むヤモリなので、ハンドリングをすると飼い主さんの手にしがみついて落ち着いている個体が多いです。
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ただし、クレステッドゲッコーでも、性格や年齢によってハンドリングしやすい個体とそうでない個体がいます。たとえば、ヤング期の個体はまだ体重が軽いので、ハンドリングしているとジャンプして逃げてしまうことがあるので、あまりお勧めできません。ハンドリングができるのは、十分に成長して体重が重くなった大人のクレステッドゲッコーです。大人のクレステッドゲッコーは、動きが遅くジャンプして逃げることも少ないです。
ハンドリングの方法は、「優しくそっと支える」ことが基本です。まず落ち着いた環境で、クレステッドゲッコーの頭部の方から、そっと手を差し出し、自ら乗ってくるのを待ちます。一度乗ったら、頭部や尾を押さえず、両手で胸部から腹部を軽く包み込むように支えます。移動させる際は、高さをなるべく低く保ち、万が一、落下しても大丈夫なように配慮しましょう。
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