ハシビロコウの生態の不思議

ハシビロコウの生態は、コウノトリやサギ、ペリカンなどに類似するところもありますが、どの種類とも直接的な類縁関係がなく、ハシビロコウの一種で一科を成す謎の多い鳥です。

じっと動かないことが多くても飛べないわけではない、地味な灰色の羽根のようで、よく見る青く輝くこともある、そんなハシビロコウの不思議な魅力について紹介していきます。

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ハシビロコウの分類上の不思議

ハシビロコウ-生態-画像

和名:ハシビロコウ(意味:クチバシの広いコウノトリ)
英名:Shoebill(意味:靴のようなクチバシ)
学名:Balaeniceps rex(意味:クジラの頭の王様)
分類:ペリカン目-ハシビロコウ科
生息地:中央アフリカの湿地地帯とその周辺の草原地帯
体長:約1.0~1.4メートル
体重:約4~7キログラム
寿命:約30~40年

名前の由来

ハシビロコウは、これまでコウノトリに似た鳥だと考えられてきました。そのため和名の「ハシビロコウ」は「ハシビロ=クチバシが広い」「コウ=コウノトリ」という意味から名付けられました。今では遺伝子研究の結果ペリカンに近い鳥だと考えられています。

英名の「Shoebill」は「shoe=靴」「bill=クチバシ」という意味で、ハシビロコウのクチバシが、まるで大きな木靴のような色と形をしていることが由来しています。

学名の「Balaeniceps rex」は、ラテン語で「balaena=クジラ」「ceps=頭」「rex=王様」という意味から名付けられました。

どの名前も、ハシビロコウの頭部が由来になっていることから、大きな頭とクチバシが印象的な鳥であることが分かります。

一科一種の珍しい鳥

ハシビロコウは、これまでコウノトリやサギ、ペリカンなどの特徴を合わせ持つ鳥と考えられてきました。以前はコウノトリ属に分類されていましたが、現在では遺伝子研究の結果、ペリカンに近い動物であると判断され、ペリカン属に分類されています。

ただし、どの種類にも直接的な類縁関係はなく、ハシビロコウの一種で一科を成す珍しい鳥です。

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ハシビロコウの生態の不思議

ハシビロコウの生息地

野生のハシビロコウは、アフリカ東部から中央部にある湿地地帯、及ぶその周辺の草原地帯に生息しています。これはカミガヤツリ(パピルス)という植物の分布と同じことで知られています。

ハシビロコウはアフリカの様々な国で目撃されており、中央アフリカ共和国、タンザニア、ウガンダ、スーダン、ルワンダ、コンゴ共和国、ザンビア、マラウィ、エチオピアなどで生息が確認されています。

ハシビロコウは、基本的には遠くまで移動せずに生活する留鳥です。ただし、食べ物不足などの何らかの理由がある場合は、より良い環境を求めて少しずつ移動します。

第3のまぶた

ハシビロコウ-生態-瞬膜-画像ハシビロコウの目には「第3のまぶた」と呼ばれる瞬膜(しゅんまく)があります。これは通常のまぶたとは別に白っぽい膜が眼球を覆い、水や泥など目に入るのを防ぐ働きをしています。膜の色が白いので、まるで白目をむいているように見えますが、そうではありません。

瞬膜はハシビロコウに限らず、他の鳥類や爬虫類にもよく見られる器官です。両生類、魚類、哺乳類でも一部の種に瞬膜を見ることができます。膜の色が白いものもあれば半透明のものもあります。

また、ハシビロコウの目は、若いうちは黄色の瞳をしていて、成熟すると青色の瞳になります。

独りでいる方が落ち着く

ハシビロコウは繁殖の時期を除いて、ほとんど時間を単独で行動します。複数のハシビロコウを飼育している動物園では、お互いが一定の距離を空けて干渉せずに生活している姿を見ることができます。

これは、たとえ血縁関係にあるハシビロコウ同士でも、成熟した鳥が近づいて一緒に暮らすことはありません。ただし、繁殖期の生態を除きます。

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クチバシを打ち鳴らしてコミュニケーション

ハシビロコウは声を出す機能が退化しているので、鳴き声を出すことが苦手です。その代わりに、クチバシを叩き合わせてコミュニケーションをとります。この動作を「クラッタリング」と言い、ハシビロコウの他にも、コウノトリなどの鳴くことが苦手な鳥に見られる動作です。

お辞儀で愛情表現

ハシビロコウは、首を左右に軽く振りながら頭を下げる、お辞儀のような動作をすることで相手に愛情を伝えます。この動作は、オスとメスの求愛表現で行われることもあれば、動物園では大好きな飼育員さんに親しみを込めてお辞儀のような動作をすることもあります。

ハシビロコウは、草の間に拾い集めた植物を積み上げて、卵を産むための産座を作ります。直径1メートル程の産座の上に1、2個の卵を産み、オスメス交代で抱卵します。約30日程抱卵してかえった雛鳥は、その3年程で成熟します。

実はゴージャス!青く輝く羽根

ハシビロコウ-生態-羽根の色-画像ハシビロコウの羽根は灰色の部分が多く、一見地味な鳥のように思えますが、光の加減で青く見えることがあります。ハシビロコウはもともと大きな鳥なので、その体が青くキラキラと輝く姿はとてもゴージャスで圧倒されます。

ただし、ハシビロコウはなかなか動かない鳥なので、青く輝く姿を見るチャンスは少ないかもしれません。

また、ハシビロコウの頭部には、特徴的に長く伸びた羽根があります。これを冠羽(かんう)と言い、威嚇する時など感情によって羽根が立ち上がることがあります。

動かない鳥

ハシビロコウは「動かない鳥」として知られています。これはハイギョ(肺魚)などの川魚を狩る時に、ハシビロコウが長時間動かずに魚が近づいてくるのをじっと待つ習性があるためです。ハシビロコウの好物であるハイギョは肺呼吸をする魚で、呼吸をするために水面に浮かび上がってくるところを、大きなクチバシで狙います。

ただし、狩りをしていない時のハシビロコウは自然に動きます。歩いたり、クチバシを打ち鳴らしたらり、時には翼を広げて飛ぶこともあります。

ハシビロコウの主食は、ハイギョやポリプテルス(古代魚の一種)などの淡水魚ですが、時にはカエルやヘビ、昆虫、小型の哺乳類などを食べることがあります。動物園ではニジマスやコイなど、日本の淡水魚を与えていることが多いです。

足に尿をかけて涼をとる

ハシビロコウは自分の足に尿をかけて、その蒸発による気化熱を利用して涼をとります。この行動はハシビロコウと類似している鳥と言われるコウノトリにも見られる生態です。

足にかかった尿は白く跡を残すので、動物園ではハシビロコウの足が白く汚れている様子を見ることができます。

ハシビロコウのいる動物園の情報も合わせてご覧ください。

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