動物のアルビノと白変種は、いずれも見た目が白いことからこれらを混同しがちですが、実はこの2つは動物学的に全く別のものです。それではアルビノと白変種にはどのような違いがあるのか?その違いを簡単に説明すると、アルビノは色を付けるためのメラニンが遺伝子疾患により作ることができない個体で、白変種は健康体でありながらメラニン生成が遺伝的に減少している個体です。
今回はアルビノと白変種の違いについて解説していきます。まずは、アルビノと白変種とは何なのかを確認していきましょう。
アルビノとは
アルビノとは、体毛や羽毛、皮膚などに色を付けるために必要なメラニン色素が、遺伝子疾患により生まれつき欠乏していることから白化した個体です。メラニン色素には紫外線から体を守る重要な役割があります。これが先天的に欠乏しているため病気のリスクが高いと言えます。
また、自然界では白い体が天敵の標的になりやすく、生き残ることが困難であると言えます。もともと数が少ない上に困難な境遇のため、自然界で見付けることはとても希なことです。
アルビノは、その希少性や白く神々しい見た目から、古くから神の使いまたは吉凶の前触れと考えられてきました。日本ではシロヘビが祀られた神社や伝承が残っています。
中には、観賞用に人為的に繁殖されたアルビノもいます。コリドラスという熱帯魚のアルビノが通称:シロコリと呼ばれて愛されています。
アルビノのコリドラスであっても、アルビノの性質に適した飼育環境であれば通常個体のように長生きさせることもできます。
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白変種とは
白変種とは、メラニン色素の減少により体毛や羽毛、皮膚などが白化した個体のことを言います。メラニン色素に関係する遺伝子情報が損なわれたことにより白い個体になるアルビノとは違い、白変種は生きていく上で正常かつ基本的な変化だと考えられています。
白変種の動物は、南アフリカで発見された野生のホワイトタイガーや、インドのホワイトライオンなどが知られていますが、なぜ正常な個体でありながら白化した理由は動物学的にはっきり分かってはいません。
一説によれば、氷河期では白い体が保護色となり生き残る確率が高かったことから、先祖の遺伝子が受け継がれて今になって白化したということが言われています。ただし、氷河期に生存していた動物たちの体毛の色を確認するには情報不足であることや、今になって白化が現れている理由が明確に説明できないことから、あくまで仮説に過ぎない。
白変種の場合もアルビノと同様に自然界で発見されるのは希なことですが、シロイルカやホッキョクグマなどのように通常個体の色が白い種類も存在します。これは生息環境の影響より白変種だけが中心となったと考えられています。このことから、動物は通常種でも環境の変化に合わせてメラニン生成を減少させて体の色を白くする遺伝子情報を持っているという説もあるようです。ただし、これも動物学的に明確な理由は分かっていません。
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アルビノと白変種の違い
アルビノと白変種の違いは、目の色の違いや、白化の濃度の違いによって見分けることができます。
目の違い
白変種の目は通常の色、アルビノの目は赤色という違いがあります。白変種の目は、その動物本来がもつ色をしていますが、アルビノの場合は色素がないため、目の奥の毛細血管が透過し赤色の目をしているのが特徴です。
白化の濃度の違い
アルビノはメラニンの生成に関係する遺伝子情報が欠損しているので、外見が真っ白な個体になりますが、白変種の場合は、メラニン生成が全くできないわけではないので、体に薄い茶色の部分が見られる個体もいます。ベンガルトラの白変種であるホワイトタイガーは、トラの特徴的な縞模様が薄い茶色で残っています。
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