グッピーとメダカは大きさがほぼ同じくらいの小型の淡水魚ですが、これらの魚には決定的な違いがいくつかあります。今回はグッピーとメダカの違いや、これらの混泳と共存について解説していきます。
「グッピー」と「メダカ」の違い
グッピー
カダヤシ目-カダヤシ科-グッピー属
中南米に生息
適応水温23~26℃
体内で卵をふ化させる卵胎生の魚
オスはシリビレ部分に交接器がある
メダカ
ダツ目-メダカ科-メダカ属
日本、中国、朝鮮半島、台湾に生息
適応水温18~28℃、0℃以下で冬眠
卵を産んでからふ化させる卵生の魚
オスはシリビレ部分に交接器がない
分類上の違い
グッピーは「カダヤシ目-カダヤシ科-グッピー属」に分類される魚です。グッピーの原産は中南米です。
一方、メダカは「ダツ目-メダカ科-メダカ属」に分類される魚です。メダカは、日本や中国、朝鮮半島、台湾に生息します。
グッピーとメダカは、見た目がよく似た小型の淡水魚ですが、グッピーがカダヤシ目の魚で、メダカがダツ目の魚ということで、類縁関係は遠い魚であることが分かります。
メダカは水温0℃以下で冬眠する
グッピーの適応水温は23~26℃で、メダカの適応水温18~28℃なので、ヒーターで温度管理をすれば、同じ水槽で混泳することができます。
ただし、自然界のメダカは、寒い季節が訪れる日本や中国大陸などに生息するので、0℃以下の環境では冬眠します。一方、グッピーは熱帯地に生息する魚なので、寒さにとても弱く、急激な温度変化に対応することができません。
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グッピーは子を産み、メダカは卵を産む
グッピーとメダカを比べて最も大きな違いは、繁殖方法が異なることです。グッピーは卵胎生の魚で、体内で卵をふ化させて稚魚を産みます。一方、メダカは卵生の魚で、卵を産んでからふ化させます。
見分け方のポイントはシリビレの違い
近年、観賞用メダカの品種改良が進み、グッピーのようにヒラヒラとした長いヒレを持つメダカもいます。そうなると、益々グッピーとメダカの見た目が似てきますが、実はオスのシリビレだけは必ず違います。
グッピーは体内で卵をふ化させる卵胎生の魚なので、オスのグッピーはメスの体内で受精する必要があります。そのため、オスのグッピーのシリビレ部分は、「ゴノポディウム」という呼ばれる交接器になっていて、これをメスの腹部付近に挿入して交尾します。
基本的に魚のシリビレは、腹ビレと尾ビレの間に存在します。この部分が通常のヒレになっているのがメダカです。そして、この部分が交接器になっているのがグッピーになります。
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グッピーとメダカは混泳はできても共存は難しい
グッピーの適応水温は23~26℃で、メダカの適応水温18~28℃なので、ヒーターを使ってグッピーの適応水温に保てば、グッピーとメダカを混泳することができます。
グッピーとメダカの食性も、動物性プランクトンや藻など食べる雑食なので、グッピーとメダカのどちらの餌を与えても飼育が可能です。
ところが、メダカに比べてグッピーの方が繁殖力が強く、餌の食いつきも良いため、オスとメスを長い間混泳していると、次第にグッピーの方が多くなっていく傾向があります。
グッピーはカダヤシ目に属する魚です。このカダヤシという魚自体が、日本全土に生息していたメダカを追いやって、日本の水田からメダカがほとんどいなくなったという歴史があります。
このように言うと、まるでカダヤシという魚が悪いように思われがちですが、実は70代頃に外来種のカダヤシを人為的に川に放流したという経緯があります。カダヤシという名前は「蚊を絶やす」という意味が由来になっていて、カダヤシがよく食べるとされるボウフラを駆除するために、日本各地に放流されました。
その後、在来種のメダカの生息地をカダヤシが取って代わり、水路がコンクリート化したこともあいまって、みるみるうちに日本全土から野生のメダカが消えていきました。このことからも、カダヤシ目の魚のグッピーとメダカの共存は難しいことが分かります。
さらに、沖縄県では、ペットとして飼われていたグッピーを自然界に放流してしまったことで、70年代以降にメダカを追いやったカダヤシが、今度はグッピーによって追いやられるという事例も報告されています。
このくらい繁殖力が強いグッピーとメダカは、観賞用に水槽で混泳することはできても、いずれは共存できずにメダカの数が少なくなっていく可能性が高いです。
めだか・グッピーの餌
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