熱帯魚の飼育では、水槽を立ち上げて数週間経ってから水槽に魚を入れるというのがセオリーになっています。これは水を綺麗にするバクテリアが繁殖し、ろ過材に定着してから熱帯魚の飼育を始めるためです。
バクテリアの働きによって水を綺麗にする方法を「生物濾過(せいぶつろか)」と言います。今回は、生物濾過の仕組みとおすすめの生物ろ材を紹介します。
濾過の種類
濾過の方法には「物理濾過」「科学濾過(吸着濾過)」「生物濾過」の3つの種類があります。
物理濾過とは、フィルター内のスポンジや綿などで、水中に漂うゴミを物理的に引っ掛けて水を綺麗にする方法です。
科学濾過とは、ゼオライトや活性炭などで、水の濁りや悪臭を吸着除去する方法です。この濾過法は吸着濾過と呼ばれることもあります。
生物濾過とは、微生物(バクテリア)によって水を綺麗にする方法です。
これらの濾過法はどれも必要性がありますが、中でも最も重要な濾過法が生物濾過です。生物濾過が出来ていない水槽では、どれだけ高性能なフィルターを使っても、熱帯魚の長期飼育が難しいです。
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生物濾過の仕組み
生物濾過は、バクテリアの働きによって水を綺麗にする方法ですが、特に重要な働きをするのが「ニトロソモナス」と「ニトロバクター」というバクテリアです。これらは、熱帯魚にとって有害な物質を分解して無害化する働きがあります。
水槽で熱帯魚を飼育すると、餌を食べた魚たちが糞を出します。その排泄物から溶け出すアンモニアが、生体にとって有害な物質になります。
そのアンモニアを餌にしているのがニトロソモナスというバクテリアです。ニトロソモナスによって分解されたアンモニアは、亜硝酸に変わります。
さらに亜硝酸を餌にしているのがニトロバクターというバクテリアです。ニトロバクターによって分解された亜硝酸は、毒性の低い硝酸塩という物質に変わります。
「熱帯魚の排泄物から発生した有害なアンモニア」⇒「ニトロソモナスがアンモニアを分解して亜硝酸に変える」「ニトロバクターが亜硝酸を分解して毒性の低い硝酸塩に変える」このサイクルが生物濾過の仕組みです。
ただし、硝酸塩はアンモニアや亜硝酸と比べて毒性が低いというだけで、熱帯魚にとって全く害がないというわけではありません。硝酸塩が高濃度にならないように、定期的に水槽の水替えをして低濃度を保つ必要があります。
ニトロソモナスとニトロバクターは、水中や地中にごく普通に存在するバクテリアです。水槽を立ち上げて数週間経てば、自然に繁殖していきます。
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生物ろ材選びのポイント
生物ろ材とは、生物濾過に特化したろ材のことです。生物ろ材を選ぶポイントは、「バクテリアが定着しやすい構造」であることと、「通水性が良い」という2点になります。
バクテリアが定着しやすい構造とは、ろ材の表面に肉眼で確認できないほどの無数の穴がある、多孔質構造と呼ばれるものです。そして、通水性が良いろ材というのは、ゴミや汚れが詰まりづらく、ろ材自体に水が通りやすい構造のものです。
生物濾過をしてくれるバクテリアは生き物なので、常に酸素が必要です。しかし、ろ材が目詰まりを起こしてしまい水の通りが悪くなると、酸素の供給ができなくなりバクテリアが死滅してしまいます。
おすすめの生物ろ材
多孔質構造のろ材
この商品は、アクアリスト達の間ではよく知られているドイツ製のろ材です。ドイツ製なのでやや高価なものなのですが、耐久性が高く、長期間使用できるろ材です。
ろ材の表面が多孔質構造になっているので、バクテリアが繁殖して定着しやすいです。ろ材の大きさは、直径6~11mm程度の小さな粒なので使いやすいです。
軽いリングろ材
この商品は、穴の開いたリング状のろ材なので通水性に優れています。さらには、表面に凹凸がある多孔質構造になっているので、バクテリアが繁殖しやいです。
この商品は、ろ材が水に浮いてしまうほど軽いので、ろ材の掃除などのメンテナンスが簡単です。
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